年始に考える。問屋について
2011年1月2日-1月9日辺り: 明けましておめでとうございます。名ばかり専務です。 年始早々、風邪を引いてしまい、嫁の実家から強制送還されて自宅に1人で療養しています。まぁ、親戚が集まり、妊婦や赤ちゃんがいるので、帰ったのですがね...。 さて、1人ということもあり、久々に徒然なるままに書いてみようかと思います。 タイトルにも有りますように、「問屋について」思っている事を書いてみようかと思います。風邪引きなので、意味不明な方向に行ったり、途中で書くのを止め、布団にもぐるかもしれません。 最近、販路拡大、世界進出の為に中国に出向いております。中国に出て一番気が付くことは、問屋が多いことです。とても多いです。どのくらい多いかといいますと、1つの商品だけで、日本の3~4階建ての百貨店やスーパーマーケットの大きさのビルに、2坪~4坪の問屋がギッシリと詰まっているという感じです。また、その他では平屋建ての2坪~4坪の問屋が東京ドーム○個分といった感じにひしめいているという感じです。 そのような所に出入りすることで、問屋とは何か、今の日本はどうなのかと改めて考えてしまいました。今回は、徒然なるままに考えていきたいと思います。 さて...市場が成熟するなかで、競争原理のなかで、小売店舗の統合がなされ、小売の規模が大きくなり、競合市場から寡占市場、最終的には独占市場になることが考えられます。日本の雑貨、食品、電化製品などの多くの市場は、小売が強くなり、大きな意味で寡占市場になっているのではないでしょうか。具体的には、日本では2000年に「大規模小売店舗法」が改正され、全国各地の郊外等に多くのショッピングセンター等が建設されました。我々消費者は、今まで存在した商店街などから何でも揃う、何でも安いショッピングセンターに買い物に行くことで利便性を享受してきました。大量消費(販売)のなかで価格競争に負け、今まで存在した商店街や小規模小売店舗の多くは、衰退していったのではないでしょうか。 この商店街や小規模小売店舗の衰退については、努力不足や経営能力不足だけでは片付けられないと考えます。実際に、地元名古屋の商店街と言って思い浮かぶのは大須商店街だけで、その他の商店街はほとんど浮かびません。大須商店街の皆様は様々な努力を行っている反面、その他の商店街や小規模小売は努力していないという意見もあるかもしれません。代々の商売を引き継ぎ、何も考えずに経営をしている人もいたかもしれません。しかし、それだけでは片付けられない社会情勢になってきたと感じます。 私自身も大規模店舗の恩恵を受けており、決して不要とは思いません。ただ、大規模店舗が過度に進出することで、小規模店舗が打撃を受け、閉店に追い込まれるだけではなく、 大規模店舗が価格競争のなかで低価格維持のために人件費削減の影響を受ける 商圏内住人の収入、及び自治体への税収の減少にも繋がる といった、「ウォールマート地獄」といった地域コミュニティの破壊に繋がるといわれています。(、「ウォールマート地獄」という単語を御検索下さい。)人件費削減は、単価が下がるだけでなく、価格競争に勝つための効率化による、地域の労働人口の減少にも繋がると感じます。また、小売店舗の大規模化による中間流通(問屋)の減少による労働人口の減少にも関係すると考えます。 では、この中間流通、いわゆる、問屋とはなんでしょう。色々なものの本には問屋の意義などが書いてありますが、私は考える問屋の意義は以下のように考えます。 金融機能 物流機能 情報機能 色々な本のうる覚え、かつ、自分の考えですので、世の中で有るような理論とは異なるかもしれません。 1つ目の「金融機能」は、さらに2つに分割されると考えます。1つは、小売が資金繰りの観点から多ロットで買えないところ、問屋が緩衝材となり、メーカから多ロットの購入を行い、ロットを分割し、小ロットで小売に販売するという点です。小売は小額の資金で物品が購入できます。2つめは、支払サイト等、小売の支払を猶予するという緩衝材的役割です。通常、小売等の小ロット購入では、メーカは信用の問題から現金取引となるところ、問屋が支払における緩衝材になります。具体的には、一般的に小売と比べ問屋は取扱量が多いので、メーカとの取引条件、具体的に支払サイト(期間)が延びます。また、問屋は過去の実績等から小売の信頼性に応じ、支払サイトを検討します。結果、小売は、多少メーカから購入するのと比べ、高い値段で問屋から商品を購入しますが、その代わり、小ロットで、資金繰りに困らず、購入できることが出来ます。 2つ目の「物流機能」は、物流拠点として、商品の保管、商品ロットの分解、末端顧客への直送を含む輸送を行うという点になります。1つ目の「金融機能」の1番目と重複しますが、「商流」(お金の流れ)という視点よりも「物流」(物の流れ)に視点をフォーカスしています。小規模小売店舗は、外部倉庫として問屋を利用することにより、在庫保管場所等を節約することができます。また、陳腐化リスクや減耗リスク等も問屋に移転することが出来ます。 3つ目の「情報機能」は、数多くある商品を選別したり、顧客からの商品問い合わせによる商品の探索、また、新たな商品を発見し、小売へ新たな商品情報を伝えるという役割です。小規模小売店舗は、一般的に能動的に情報を収集する必要がありますが、問屋を利用することで一部受動的に情報が受領できるようになります。また、問屋と取引することで、情報収集チャネルが集約することが出来ます。例えば、直接10社のメーカ等と付き合う場合、情報チャネルが10社分必要となります。しかし、問屋を中継することで、情報チャネルが少数に絞れ、情報収集に係る時間と手間が集約することも可能となります。ただし、情報が集約される分、問屋の情報提供能力に依存してしまい、スピード感や情報の欠如等が発生する可能性も出てきます。 上記問屋機能については、小売が問屋よりも規模が小さいということが前提となるのではないでしょうか。また、規模だけではなく、小売店舗が上記3つの機能、または、それに関わるリスクを問屋に移転(転化)したいという場合に問屋機能の存在価値が有ると考えます。例えば、問屋の規模よりも小売店舗のほうが大きいが、小売店舗にとっては当該取扱商品のボリュームが小さく、第2の機能である「物流機能」の観点から、問屋を利用したほうが良いという考えもあります。 さて...ちょっと、飛躍してしまうかもしれませんが、最初に書いた大規模店舗が出ることで、 価格競争力、商品構成力に富んだ商品の購入 という恩恵を受ける反面、 小規模店舗の減少 問屋など中間流通の減少 問屋減少による金融、物流、情報リスクの上昇 地域労働単価の減少 地域労働人口の減少 に繋がると感じます。 上記点から、新たな労働を生み出す新規起業が難しくなるのではないでしょうか。ゆえに、 労働を生み出さない 賃金の獲得できない 物が買えない、買え控えをする 企業収入・収益が増えない 所得、法人税収が増えない という負のスパイラルに陥っている気がします。 何度も言いますが、大規模店舗がダメだといっているのではありません。大規模店舗は多大な努力をしていますし、その恩恵の自分を始めとする消費者が受けています。問題は、新規起業が出来るような国としての努力が必要だと感じます。 しかし、国がダメだから...、という言い訳をするだけでなく、自ら何ができるかを考えていきたいと考えます。特に、問屋、いわゆる卸業界にいる私としては、問屋の3つの機能を強化していくとともに社会を良くしていくための施策を考えていきたいと思います。 最後は知りきれトンボですが...。すいません。 問屋のことというよりは、流通、大規模店舗のことになってしまいました。ダメだこりゃ...。